
エコキュートは省エネ性に優れた給湯器として多くの家庭で利用されていますが、「貯湯タンクにお湯がたまらない」「浴槽にお湯がいっぱいまで入らない」といったトラブルが起きることがあります。
お湯が使えないと生活に大きな支障をきたすため、早急な対応が必要です。
本記事では、エコキュートでお湯がたまらないときの原因と対処法を詳しく解説し、修理や交換の目安、費用の相場についても紹介します。
この記事でわかること
- エコキュートのタンクにお湯がたまらない原因
- 浴槽にお湯がたまらない原因
- 自分でできる対処方法
- 修理や交換が必要なケースについて
エコキュートのタンクにお湯がたまらない主な原因
エコキュートの貯湯タンクにお湯が十分にたまらない原因は、大別すると7点あります。
リモコンに表示される貯湯タンクの残湯量をチェックして、湯量が最大にならなかったり、いつもより湯量が少ない場合は、以下を確認してみましょう。
沸き上げ量の設定が不十分
エコキュートには湯量の設定機能があり、沸き上げ量の設定が「少なめ」になっていると、貯湯タンク内に十分な量のお湯がたまらない原因となります。
また、設定が節約モードになっている場合も注意が必要です。
例としてエコキュート以外の電気製品を多く使用する時間帯に消費電力を抑えて少ない消費電力でお湯を沸かす「ピークセーブ」や、電気を多く使用する時間帯に沸き上げを停止する「ダブルピークカット」、昼間と夜間で時間を分けてお湯を沸き上げる「ソーラーチャージ」など設定をしている場合は、タンクいっぱいにお湯がたまらない場合があります。
学習機能による湯量制限
エコキュートには「学習機能」が搭載されており、普段のお湯の使用量を記録して自動的に沸き上げるお湯の量を調整します。
何日か続けてお湯の使用量が減った際には、お湯の沸き上げ量に対して使う量が少ないと判断して、普段より沸き上げるお湯の量が少なくなってしまいます。
外気温の低下による影響
エコキュートはヒートポンプ技術を利用して、電力と大気中から取り込む熱によってお湯を沸かす仕組みの給湯器です。
ヒートポンプの仕組み上、気温が低いと空気の熱を取り込む効率が悪くなり、お湯の沸き上げ効率が低下します。
そのため、冬になると定量のお湯が沸かしきれない・たまりきらないことがあるのです。
故障ではなく一時的な症状であり、気温が上昇するとともに沸き上げ効率も元に戻ることがほとんどです。
また、寒冷地仕様のエコキュートを設置していたり冷気対策が十分に行われている寒冷地よりも、通常タイプのエコキュートを設置している地域の方が発生率が高いです。
夜間にお湯を使いすぎた
エコキュートは通常、電気料金が安い深夜の時間帯にお湯を沸かします。
深夜電力で沸かした分のお湯を夜間に多く使用すると、翌朝までにタンクが満タンにならず、お湯切れの状態になることがあります。
故障ではありませんが、夜中にたくさんお湯を使うことによってお湯切れを起こしたり貯湯タンクいっぱいまでお湯がたまらないようなら、設定の見直しが必要です。
配管や貯湯タンクからの漏水
配管やタンクが破損していると、水漏れを起こすことがあります。
破損部位から水が漏れていた場合、沸き上げが正常に機能していてもお湯が定量までたまらない原因となります。
長期間使用しているエコキュートは経年劣化から配管やタンクが水漏れを起こしやすいため、注意が必要です。
停電やブレーカー落ちによる影響
エコキュートは電気を使って湯沸かしを行います。
お湯の沸き上げ中に停電やブレーカー落ちなど電源が遮断されると、加熱が途中で止まってしまいお湯がたまらない原因となってしまいます。
特に長時間にわたって停電やブレーカー落ちが続くと、再運転まで時間がかかることからタンクいっぱいまでお湯がたまりにくい状況が続くため、早めの復旧が重要です。
温度センサーの故障
エコキュートの貯湯タンクにはサーミスタと呼ばれる温度を検知するセンサーが内蔵されています。
サーミスタが故障していると、貯湯タンク内のお湯の温度を正確に測ることができず、タンク内いっぱいまで水が入っていても沸き上げが正常に行われずお湯が不足することがあります。
浴槽にお湯がたまらない場合の原因
貯湯タンクに十分な量のお湯が入っているのに、浴槽にお湯がたまらない場合は、部品の不具合や劣化、センサーの故障などが原因となることが多いです。
ゴムパッキンの劣化
配管の接続部分には、お湯や水の漏れを防ぐゴムパッキンが取り付けられています。
パッキンは物理的な摩耗や変形、経年劣化による硬化やヒビ割れなどが原因で劣化すると、水漏れを起こします。
浴槽の内部に設置されたパッキンが傷んでいると、浴槽へ送られてきたお湯が漏れて十分にたまらない原因となります。
フィルターの詰まり
浴槽内に設置されている丸い部品の循環アダプターにはフィルターが内蔵されています。
フィルターが髪の毛やゴミなどで目詰まりを起こしていると、お湯はりが途中で止まってしまい、浴槽内にお湯がたまらなくなることがあります。
水位・湯量センサーや温度センサーの故障
浴槽への自動お湯はりや足し湯は、水位や湯量を計測するセンサーで制御されています。
水位センサーまたは湯量センサーが故障・不具合・誤作動を起こすと、浴槽内の湯量が正確に計測できず、お湯の供給が途中で止まってしまうことがあります。
自分でできる対処法
エコキュートのお湯がたまらないと感じたときは、すぐに修理業者を呼ぶ前に、自分でできる対処方法を試してみましょう。
一時的な不具合や誤作動であれば、簡単な操作や清掃によって症状が改善することがあります。
沸き上げ設定の見直し
リモコン画面に表示されている沸き上げ量が「少なめ」「節約」に設定されていてお湯が足りないなら、「多め」「通常」に変更してみましょう。
設定内容・運転モード・タイマーを見直す
「省エネ」「湯控えめ」「深夜のみ」などのモードになっている場合は、湯量を「多め」や「通常」に変更します。
また、タイマーの時刻設定や「沸き上げ休止」設定が誤っていないかも確認してください。
一時的に貯湯タンク内の湯量を増やしたい場合は、「沸き増し」や「強制沸き上げ」ボタンを押すことで、タンクのお湯を追加で作ることができます。
学習機能のリセット
エコキュートの学習機能は普段の使用状況を自動で記録・解析し、「湯量が少なくてよい」と判断した場合、沸き上げるお湯の量を抑える省エネ制御を行います。
お湯の使用量が数日続けて減った際などでは、学習機能を一度リセットすることで沸き上げるお湯の量が適正に戻る場合があります。
本体リセット(電源オフ・オン)
一時的なエラーや誤作動によってお湯がたまらなくなった場合は、本体の電源を入れ直してリセットすることで、エラーが解消されることが多いです。
エコキュートのリセット方法は、漏電遮断器や主電源のスイッチを一度OFFにし、30秒ほど待ってからONに戻し、システムエラーを解除できるか確認するのが一般的な手順です。
リセットの手順はメーカーや機種によって方法が異なりますので、エコキュートのリセットを行う場合は、必ず取扱説明書またはメーカーのホームページをご確認ください。
エラーコードの確認
リモコンにエラーコードが表示されている場合は、取扱説明書を確認しましょう。
エラーコードは英数字の組み合わせで、トラブルや不具合ごとに番号が決められています。
エラーコード番号を調べることで、自分で対処できるか修理が必要か判断することができます。
エコキュートでは、メーカーごとにエラーコードの番号とトラブル内容が異なりますので、お持ちの取扱説明書またはメーカーのホームページを確認してください。
外気温が低い時は沸き増しする
エコキュートはリモコン操作によって沸き増し量の調節を行うことができます。
冬場など外気温が低い時期にお湯がたまらないようであれば、湯増し量を増やす、昼間に追加で沸かすなどの対策をとることで、必要量のお湯を確保することができます。
ただし、昼間に沸き増しすると夜間よりも電気代が上がる点には注意が必要です。
フィルター清掃やパッキン点検
浴槽内にお湯がたまらない場合は、フィルターの清掃やゴムパッキンの交換を試してみましょう。
フィルターを掃除する場合は、浴槽内の循環アダプターを取り外してから柔らかいブラシなどでこすって汚れを落として、再度取り付けます。
ゴムパッキンが劣化している場合は交換が必要です。
パッキンはホームセンターや通販サイトで購入でき、個人で交換ができます。
ただし、購入時にサイズを間違えたり、正しく取り付けができていなかったりすると、水漏れ症状が改善しません。
作業に不安がある場合や確実に直したい場合は、修理業者に依頼することをおすすめします。
修理・交換が必要になるケース
自分でできる対処法で改善しない場合、修理や交換を検討する必要があります。
以下のケースに該当するようでしたら、早めに専門業者に相談してください。
センサーやヒートポンプの故障
エコキュートは温度センサーや水位センサーによって正確にお湯の状態を管理しています。
これらのセンサーが故障すると、正しく沸き上げができず、結果としてお湯がたまらない症状が発生します。
また、エコキュートの心臓部であるヒートポンプが故障すると、そもそもお湯を沸かす機能自体が停止してしまいます。
これらは部品交換で対応できることもありますが、基盤やヒートポンプの修理は高額になることが多いです。
そのため使用年数が10年近い場合には修理ではなく交換を検討するのが一般的です。
タンクの劣化
エコキュートの貯湯タンクは長期間にわたり高温の水を保持するため、金属疲労や腐食などダメージが蓄積されます。
貯湯タンクの劣化が進むと、湯量を正しく保持できなくなったり、保温性能が落ちてお湯がすぐに冷めてしまうといったトラブルにつながります。
また、水質によってはタンク内にスケール(カルシウムなどの沈殿物)が付着し、容量の低下や配管詰まりを引き起こすケースもあります。
タンク自体の交換は高額になるため、多くの場合はエコキュート本体を丸ごと交換する流れになります。
そのため、貯湯タンクが劣化している場合は業者への依頼が必要です。
水漏れや基盤の不具合
エコキュートは電気と水を組み合わせて稼働するため、配管や接続部分の劣化により水漏れが発生することがあります。
パッキンの劣化など軽微な不具合であれば部品交換で対応できますが、タンク周辺や配管内部での漏水となると修理ができないことがほとんどです。
また、制御基盤に不具合が起こると、正しく運転制御ができず「お湯がたまらない」「途中で停止する」といった症状を引き起こします。
基盤は精密機器のため修理費用が高額になりやすく、さらにメーカーの保有部品が終了している場合には修理そのものができないこともあります。
長年使用した機器であれば、修理よりも交換が最も現実的な選択肢といえるでしょう。
エコキュートの寿命は約10〜15年
一般的にエコキュートの寿命は約10〜15年といわれています。
使用環境やメンテナンス状況、お湯の使用頻度によって多少の差はありますが、長く使い続けるほどタンクやヒートポンプ、基盤といった主要部品に不具合が生じやすくなります。
特に10年を過ぎるとメーカーの部品供給が終了することも多く、修理が困難になるケースが増えてきます。
そのため、お湯がたまらないといった不具合が頻発するようになった場合は、修理よりも交換を前提に検討する方が安心です。
交換によって最新の省エネ性能を備えたエコキュートに切り替えられるため、ランニングコストの削減や補助金制度の活用といったメリットも享受できます。
エコキュートのお湯がたまらないトラブルを防ぐために
エコキュートは日常的に使用する重要な設備だからこそ、日頃の点検や使い方、こまめな清掃などを行うことで、お湯がたまらないトラブルを予防することができます。
フィルターの清掃は週に1~2回程度、貯湯タンクの水抜きは年に2~3回程度で行うようにしましょう。
また、エコキュートは定期的なメンテナンスが必要ですので、3~4年に1回はメーカーに依頼して点検してもらうことも大切です。
ご使用中のエコキュートが使用開始から10年以上経過している場合は、急に故障してお湯が出なくなるリスクを避けるために、早めに専門業者に修理や交換を依頼しておくと安心です。
まとめ|エコキュートのお湯がたまらないときは早めに点検・交換を
エコキュートでお湯がたまらない原因は、設定の変更や清掃で解決できる軽微な原因から、故障や寿命による重大なものまでさまざまです。
自分で確認できる範囲を試しても改善しない場合は、早めに専門業者に相談しましょう。
修理か交換かを適切に判断することで、快適なお湯生活を取り戻すことができます。
ユプロでは故障したエコキュートの交換工事を低価格&最短日程でご案内しております。
エコキュートの使用期間が10年以上経過している、お湯がたまらない症状が続いている場合などは、給湯器交換のプロが最速で対応いたしますので、お気軽にご相談ください。