
エコキュートは、電気の力で効率よくお湯をつくる省エネ給湯器として、多くの家庭で使用されています。
毎日の生活を支えるエコキュートですが、長年の使用や何らかのトラブルによって「お湯がぬるい」「設定温度より熱くならない」といった症状が現れることがあります。
この記事では、エコキュートからぬるいお湯しか出ない原因と対処法、修理と交換の判断基準について詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- エコキュートのお湯がぬるい原因
- 自分でできる具体的な対処方法
- 修理で対応できるケース
- 交換が必要なケース
- 修理交換にかかる費用の目安
エコキュートでぬるいお湯しか出ない主な原因
設定温度が低い
まず確認したいのがリモコンの設定です。
給湯温度が低めに設定されていると、出てくるお湯がぬるく感じられる原因となります。
特に冬場になると、お湯の配管が外気温で冷やされてしまい、設定温度よりも実際の出湯温度がぬるくなってしまうことがあります。
複数の水栓でお湯を使っている
お風呂のシャワーとキッチンでの洗い物のように、複数個所で同時にお湯を使用すると、水圧のバランスが崩れて温度が低下することがあります。
貯湯式のエコキュートは、タンク内のお湯を一定圧力で供給する仕組みであり、瞬時に高温のお湯を大量に供給することはできません。
そのため、同じ時間にお湯をたくさん使うと、お湯がぬるいと感じやすくなります。
特に、高圧力タイプよりも給湯圧が低い標準タイプのエコキュートでは、この現象が起きやすいです。
貯湯タンクのお湯切れ・残量不足
エコキュートは電気代が安くなる深夜電力の時間帯に、貯湯タンク内にためた水を加熱してお湯を作るシステムです。
想定以上にお湯を使用するとタンク内の湯量が不足するため、設定温度よりもぬるいお湯が出る原因となることがあります。
例として、家族が増えたり急な来客があった、気温が下がったなど、いつもよりお湯の使用量が増えたなどのケースではお湯切れが起きやすくなります。
ヒートポンプの異常
リモコンでタンク温度が十分あるのにぬるい場合、ヒートポンプユニットやサーモスタットの故障が疑われます。
エコキュートのお湯をつくる心臓部は、「ヒートポンプユニット」と呼ばれる装置です。
エアコンの室外機のような見た目をしており、空気中の熱を取り込み、冷媒を介してお湯をつくります。
ヒートポンプユニットが故障や劣化が生じるとタンク内の水を十分に加熱できず、ぬるいお湯しか出なくなります。
ファンモーターや電子部品の不具合や配管からの水漏れがヒートポンプユニット故障の代表例です。
サーモスタット・温度センサーの異常
お湯の温度調節を行うサーモスタットや、湯温を検知するセンサーの故障は、設定した温度よりぬるいお湯が出る原因となります。
サーモスタットや温感センサーが正常に機能しないと、誤った情報が制御基板に伝わり、お湯が正しく加熱されません。
水栓の故障や不具合
水栓蛇口に不具合がある場合は、故障した水栓だけぬるいお湯が出なくなります。
キッチン、浴室、洗面化粧台など、1か所だけぬるいお湯しか出ないなら、エコキュートの故障ではなく、該当の水栓蛇口の故障や不具合が疑われます。
例として、混合水栓ではバルブカートリッジの劣化によって、温度調整がうまくできなくなることが多いです。
気温が低い
冬場は外気温が低下してヒートポンプの熱効率が落ち、湯温の上昇に時間がかかることがあります。
また、気温が低く寒い日や、エコキュートを長期間使用していない状況では、配管や混合水栓内で水が冷えてしまい、ぬるいお湯しか出ない原因となることがあります。
自分でできる対処方法
設定温度を確認する
まずはリモコンの設定温度をチェックしましょう。
設定温度が低いと、実際の出湯温度もぬるく感じます。
出湯温度の設定は春夏で40~45℃、秋冬は45~50℃が目安です。
また、タンクの湯温設定も見直しましょう。
冬場は外気温が低下してヒートポンプの熱効率が落ち、湯温の上昇に時間がかかることがあります。
「高温設定」モードに変更し、タンク設定は60℃程度が望ましいです。
給湯温度の設定を変更してもぬるいお湯しか出ない場合は、エコキュート機器内部に不具合が起きている可能性があります。
お湯の使用量を見直す
タンク容量を超えるお湯を使用していないか確認し、多いようならお湯の使用量を見直しましょう。
特に、寒い時期や来客時、長風呂が続くなど、いつもよりたくさんお湯を使う場合には、タンク内の湯量が不足してお湯切れが起こりやすいため注意が必要です。
時間をずらしてお湯を使用する
複数箇所で同時にお湯を使うことを避け、時間を分けることで湯温の低下を防ぐことができます。
シャワーと洗い物など複数の場所で同時にお湯を出している時に、ぬるいお湯しか出なくなるようなら、お湯の使用箇所を一時的に減らして水圧を安定させて確認してみましょう。
お湯の使用箇所を減らすとお湯の温度が安定するようなら、エコキュートの故障ではない可能性が高いです。
沸き増し
お湯をたくさん使ってお湯切れを起こすと、貯湯タンク内のお湯が不足してぬるいお湯しかでなくなります。
リモコンの湯量メモリや残湯量表示ランプなどでタンク内の湯量を確認し、湯量が少なかったりゼロになったりしているなら、「沸き増し運転」機能を使うことでお湯を追加で作ることができます。
沸き増し運転は十分な量のお湯を確保するのに時間がかかり、日中など時間帯によっては電気代が高くなる点に注意が必要です。
タンク内の残湯量不足によって頻繁にぬるいお湯しか出なくなったりお湯が不足するようであれば、タンク容量の変更や、お湯の使用量の見直しなどを検討しても良いでしょう。
再起動(リセット)する
軽微なエラーによって一時的にエコキュートが誤作動を起こしている場合は、リセット操作を行うことでぬるいお湯しか出ないトラブルが改善する可能性があります。
エコキュートのリセットは、主電源や漏電遮断器を一度オフにして、30~60秒程度待ってから再びオンの状態に戻して電源を入れ、正常に稼働するか確認するのが一般的な方法です。
リセットの手順は機種やメーカーによって異なる場合がありますので、必ず取扱説明書の天順に沿って行うようにしてください。
しばらくお湯を出してみる
配管や混合水栓内で冷えた水が滞留していると、ぬるいお湯しか出ないと感じることがあります。
これは、エコキュートを長時間使わなかった場合や、冬の寒い朝などで特に起こりやすい現象であり、故障ではありません。
気温が低い時期にエコキュートからぬるいお湯が出るようであれば、しばらくお湯を出し続けて温度が安定するか確認してみましょう。
エラーコードを確認する
リモコン画面にエラーコードが表示されている場合は、コード番号を確認し、取扱説明書に記載された対処方法を試してみましょう。
エラーコードはエコキュートの不具合の原因や故障個所を特定するための、重要な手がかりです。
エラーコードの番号と対処方法はメーカーによって異なりますので、必ず取扱説明書またはメーカーサイトで確認してください。
修理で対応できるケース
保証期間内での故障
メーカー保証や延長保証期間内での不具合であれば、無償で修理が受けられることが多いです。
エコキュートの保証期間はメーカーや部品によって異なりますが、一般的な無償メーカー保証は1〜5年とされています。
例として、日立のとパナソニックとダイキンでは、本体とリモコンが1年、ヒートポンプユニットが3年、貯湯タンクが5年が保証期間として設定されています。
三菱電機とコロナは本体とリモコンが2年で、ヒートポンプユニットが3年、貯湯タンクが5年の保証期間となっています。
上記の無償保証期間は2025年時点の情報のため、必ずお手持ちの保証書をご確認ください。
軽微な故障、修理費用が安め
循環ポンプや減圧弁、配管の接続部分など、一部の部品交換を行うことで、エコキュートでぬるいお湯しか出ないトラブルを解決できることがあります。
比較的軽度な不具合であれば、修理費用も数万円程度で済みます。
ただし、部品の種類や修理の作業内容によっては修理費用が高額になるケースもあり、その場合は全体の交換を視野に入れた方が良いでしょう。
リモコンの不具合
リモコン自体の誤作動や基板の不良が原因であれば、リモコン交換で改善可能です。本体に問題がなければ、大掛かりな修理を避けられます。
フィルターの汚れ・詰まり
浴槽の循環アダプターのフィルターが目詰まりを起こしていると、給湯温度の設定よりお湯がぬるくなる原因となることがあります。
浴槽の循環アダプターを確認し、髪の毛やホコリ、ゴミなどが詰まっているようなら洗浄が必要です。
フィルターは反時計回り回すと取り外せますので、柔らかいブラシと洗剤で良く洗ってから、再度付け直してからお湯を出して、供給されるお湯の温度を確認してみましょう。
水栓蛇口の故障
家の中にある蛇口のうち、一つだけぬるいお湯が出ない場合はエコキュートではなく水栓蛇口の故障や不具合が疑われます。
問題の水栓蛇口を交換することによって、ぬるいお湯しか出ない現象が改善されます。
エコキュートの交換が必要になるケース
使用年数が10〜15年以上経過している
エコキュートの寿命はおよそ10〜15年。
使用期間が10年を超えると、ヒートポンプや基板、センサーなど主要部品の劣化が進み、お湯が温まりにくくなり、ぬるいお湯しか出ないトラブルが頻発します。
古いエコキュートは修理しても別の部品が次々と故障する可能性が高く、部品供給が終了している場合は修理自体ができません。
そのため、10~15年以上使用しているエコキュートがぬるいお湯しか出なくなった際は、本体交換が現実的です。
不具合が何度も起きる
エコキュートを修理しても繰り返し不具合を起こす、再起動後も症状が改善しないなどの状況では、全体が老朽化しており本格的に故障している可能性が高いです。
無理に使用を続けると火災や爆発、漏電、一酸化炭素中毒など重大な事故を引き起こすリスクも否定できません。
安全のためにも、早急に専門業者に相談することをおすすめします。
エラーコードが頻繁に表示される
エラーが繰り返し発生する場合は、制御基板の劣化やセンサーの老朽化が進行しているサインです。
エラーの内容にもよりますが、センサー異常、循環ポンプ故障、バルブ不具合等が立て続けに起きる場合は、制御基板全体の老朽化が進んでおり、寿命サインと判断されます。
エコキュートそのものの寿命と判断して、交換を検討しましょう。
修理費用が高額
ヒートポンプユニットの冷媒漏れやコンプレッサーの不具合などが起きている場合などでは、修理費が10万円を超えることが多くなることから、全体の交換を検討するほうが現実的です。
例として、電子基板やヒートポンプユニットのファン交換で約5~10万円、貯湯タンクの本格的な修理では10~30万円ほど費用がかかります。
保証期間内の故障や初期不良であれば、無償または少ない費用で修理対応が受けられる可能性がありますが、寿命が近い場合は交換の方が安心です。
貯湯タンクの劣化
エコキュートの貯湯タンクの内部が劣化すると、断熱性能が落ちてお湯がぬるくなることがあります。
タンク底や配管接続部からのサビ・水漏れは、部品交換では対応できず、タンク全体の交換が必要です。
タンクの修理は大掛かりな工事となる可能性が高いこと、費用が高額になるケースが大多数であること、寿命が近くなっているケースがほとんどであることなどの理由から、全体の交換が選ばれることが一般的です。
水漏れ・異音、異臭がある
ぬるいお湯しか出なくなったエコキュートが水漏れを起こしていた、異音や異臭がある、本体が大きく振動しているなど、明らかな異常がある場合は、重大な故障や機器の寿命の可能性があります。
これらの異常は長期間使用した古いエコキュートにありがちなトラブルであり、大抵の場合は耐用年数の超過によって修理ができないため交換が必要です。
もし焦げ臭いニオイや金属臭、「ブーン」「ガー」などの異音、本体が傾いたり揺れがひどいなどの症状に気付いた場合は、危険性が高いためすぐに使用を中止してください。
安全性の観点からも交換が勧められますので、メーカーまたはエコキュート交換の専門業者に連絡しましょう。
エコキュートの修理交換にかかる費用の目安
エコキュートの修理にかかる費用は、修理内容や交換部品の種類によって大きく変動します。
軽微な修理内容やメンテナンスで済む場合は1~5万円ですが、主要部品の交換などでは15万円以上かかることもあります。
保証が切れている場合は全額自己負担となるため、見積もり前に保証期間を確認しましょう。
交換の場合は標準タイプ(370L〜460L)で40〜60万円、寒冷地用や高機能モデルで60〜80万円ほどが一般的な相場です。
エコキュートの交換は各自治体や国から補助金制度が設けられおり、2025年は「給湯省エネ2025事業」の制度を利用することで最大17万円相当の支援を受けることができます。
エコキュート ぬるいお湯しか出ない原因と対処法 まとめ
エコキュートからぬるいお湯しか出ない原因は、設定ミスのような簡単なものから、ヒートポンプや貯湯タンクの深刻な故障までさまざまです。
修理で解決できる場合もありますが、寿命や基幹部品の故障が原因の場合は交換が最適な選択となります。
とくに10年以上使用している機種や水漏れ・エラー頻発がある場合は、早期の交換を検討しましょう。
給湯器交換のユプロでは、エコキュートなど給湯器の交換や新規設置工事に年中無休で対応しています。
出張費用は0円、ご相談やお見積りも0円となっておりますので、古いエコキュートの交換をお考えの場合やぬるいお湯しか出ないトラブルでお困りの際は、お気軽にご相談ください。