
築年数の古い賃貸や分譲マンション、一戸建てなどで、浴室内に設置されたバランス釜(バランス型風呂釜)をお使いではありませんか?
バランス釜は給湯・追い焚き機能を持つ便利な設備ですが、現在の主流である壁掛け給湯器と比較すると、浴槽が狭くなる、設置スペースが不便、効率が悪いなど、多くのデメリットがあります。
この記事でわかること
- バランス釜の基本情報
- バランス釜から給湯器に交換する理由
- どんな種類の給湯器に交換できるか
- 工事にかかる費用や時間
バランス釜とは?その特徴と仕組み
バランス釜とは、浴室内の浴槽の横に本体を設置し、外壁にある給排気口から直接給気と排気を行うタイプのガス風呂釜のことです。
点火は電気ではなく乾電池を使い、燃焼用の空気は屋外から取り入れ、排気も屋外に出す仕組みとなっています。
バランス釜の前に使用されていた風呂釜は給排気の両方または片方を浴室内で行っていましたが、バランス釜は浴室内の空気を汚染せず一酸化炭素中毒が起こるリスクが低く、安全性が非常に高いという特徴があります。
出湯管から直接給湯できる機種や、シャワーが使える機種など、バリエーションが豊富です。
1960〜90年代に団地やアパートを中心に広く普及しましたが、水圧が低い、浴槽サイズが制限される、デザインが古く見えるなど様々な理由から、近年は屋外に設置するガス給湯器が主流となっています。
市営・県営住宅や築年数の古い集合住宅や一軒家などではまだ根強く使用されていますが、新規で設置されることは現代においてほとんどありません。
バランス釜から給湯器へ交換する主な理由
バランス釜を使用している家庭では、次のような理由で交換を検討するケースが多く見られます。
バランス釜の老朽化・寿命
バランス釜の寿命は一般的に10〜15年とされ、長期使用によって点火不良や湯温が安定しないなどの症状が出やすくなります。
近年は屋外設置型のガス給湯器が主流になり、現役で使われているバランス釜は使用期間が10~15年を超えていることがほとんどとなりました。
そのため、寿命によってバランス釜が故障や不具合を起こし、やむを得ず交換しなければならないというのが、交換する理由として多くなっています。
部品の供給が終了している機種も多く、交換部品が入手できず修理が難しい点も、交換が増えている大きな理由です。
使い勝手の改善
給湯器に交換すると、まず感じるのは「快適性の違い」です。
バランス釜は壁掛型や壁貫通型のガス給湯器と比べて、お湯の循環機能が弱く、追い焚きに時間がかかることから湯温が不安定になりがちで、シャワーは水圧が低く勢いに欠けます。
給湯器はお湯がすぐに出る、お湯の温度が安定しやすい、勢いのあるシャワーを楽しめるなど、バランス釜よりも使い勝手が各段に良くなります。
また、バランス釜は点火や温度調節を手動で行う必要がありますが、給湯器ならリモコンのボタンで簡単に操作可能です。
浴槽のサイズアップ
バランス釜は本体を浴槽の隣に設置するため、スペースを圧迫して浴槽のサイズが小さくなりますが、
ガス給湯器や壁貫通型の給湯器に変更することで、広い浴槽を設置するこが可能となります。
見た目もスッキリして浴室自体が広く感じられるため、古い住宅のリフォームとして人気があります。
安全性の向上
バランス釜は浴室内に本体を設置する機器のため、空焚きによる火災や爆発事故、点火しないままガスを流すことによるガス漏れ、給排気トップのトラブルによる一酸化炭素中毒などのリスクがあります。
特に使用期間が長い古いバランス釜だと、部品の劣化や損耗が起きているためこれらのリスクに注意しなければなりません。
現在主流の屋外設置型ガス給湯器では、設置場所が住宅の外壁や地面など屋外で、安全装置も最新であることから、バランス釜と比べてより安全です。
衛生的な浴室づくり
浴室を清潔かつ衛生的にしたいというのも、バランス釜から給湯器に交換する理由としてよく聞かれます。
浴室内に設置するバランス釜は、隙間にカビが生えやすく、構造上清掃が難しいため、衛生面が気になる方も多いのではないでしょうか。
バランス釜本体と浴槽や床の間には隙間があり、水滴が入り込み湿気がこもりやすく、雑菌やカビが繁殖しやすい環境です。
本体を動かして清掃するのは困難であり、バランス釜本体は突起物が多く細かい部分の掃除も手間がかかります。
屋外設置または壁貫通型のガス給湯器なら浴室内に本体を置かないため、水滴や湿気が溜まりにくく掃除もしやすいことから、浴室を清潔かつ衛生的に保ちやすくなるのです。
バランス釜から給湯器へ交換する際の主なタイプ
屋外設置型(給湯専用・追い焚き付き)
現在、バランス釜からの交換で最も選ばれているのが、屋外設置型の給湯器です。
屋外設置型にはさまざまな種類がありますが、バランス釜からの交換では壁掛型か据置型となるのが一般的です。
設置タイプ
壁掛型は屋外の外壁に引っかけるように設置するタイプで、通常は壁掛型が選ばれます。
据置型は地面に直接置くか据置台の上に置いて設置するタイプで、外壁がもろい、スペースが無いなど何らかの理由によって壁掛型ガス給湯器が設置できない状況において選定されます。
機能
屋外設置型のガス給湯器は、給湯専用タイプまたは追い焚き機能付きタイプを選べます。
オートやフルオートなど追い焚き機能付きであれば、浴槽内のお湯を温め直すことも可能で、バランス釜以上の使い勝手を実現します。
オートタイプは自動でお湯はり・追い焚きを行う基本的な機能を持ち、フルオートタイプでは湯量調整や自動保温まで対応。
家族の多い世帯や忙しい家庭では、フルオート型の快適さが特に人気です。
壁貫通型ガス給湯器
壁貫通型ガス給湯器は、浴槽の壁に埋め込んで設置します。
名称がメーカーによってことなり、リンナイやリクシルではホールインワン、ノーリツではバスイング、ハウステックではカベピタ(カベピタパックイン)として販売されています。
バランス釜で圧迫されていたスペースを活用することで浴槽のサイズを30~40cmほどアップできるため、大きい浴槽とセットで交換するのが一般的。
浴室の見た目がスッキリして掃除が簡単、シャワーももちろん使用可能です。
機能
壁貫通型ガス給湯器は機種のバリエーションが多く、生活スタイルやお湯の使用状況などに合わせてご家庭に合う商品を選べるというメリットもあります。
号数は6.5号・8.5号・16号の3種類、給湯専用、追い焚き付き(オート・フルオート)、ガス代が安くなるエコジョーズタイプもございます。
浴槽の種類
壁貫通型給湯器と共に交換する浴槽は、保温性が高くデザインも豊富。
適合する浴槽は大きく分けて「FRP製」「ステンレス製」「断熱仕様付き」の3タイプがあります。
かつてはステンレス製が定番でしたが、現代では樹脂断熱仕で高断熱かつ比較的安価なFRP断熱浅型タイプが主流となりました。
カラーバリエーションが豊富で保温性にも優れた人工大理石タイプも人気です。
浴槽の高さは通常タイプと浅型タイプがあり、浴槽への出入りのしやすさから浅型タイプが人気となっています。
設置時は必ず給湯器の型式(ホールインワン・カベピタなど)と、浴槽排水方向(右排水/左排水)をセットで確認することが重要です。
エコジョーズ対応型
環境にも家計にも優しいのが、高効率な「エコジョーズ」タイプの給湯器です。
エコジョーズは、従来型の給湯器では排熱として捨てられていた熱を回収して再利用することで、効率的にお湯を沸かします。
ガスの使用量を約10〜15%削減し、燃焼効率は約95%と高く、エネルギーのほとんどを無駄にしません。
燃焼時に排出されるCO2は従来の給湯器より約13%削減でき、環境への負荷も抑えます。
内部構造が複雑ですので初期費用はやや高めですが、ランニングコストに優れることから日々のガス代は安くなります。
一般的には2~3年使用すると従来型との差額は回収できるため、長期間使用することを考えると、従来型よりエコジョーズの方がお得です。
ユニットバスへのリフォーム
バランス釜が設置された浴室では、ユニットバス化リフォームが人気です。
従来のタイル風呂を、浴槽・壁・給湯器をすべて入れ替えることで、防水性・断熱性の高い浴室ユニットに一新できます。
床と壁と天井が一体成型となるため、防水性が高く、掃除やメンテナンスは簡単、バランス釜本体を撤去するぶん浴槽も広くなるなどメリットが多いです。
築年数が古く、浴室全体を一新したい場合におすすめのリフォームです。
バランス釜から給湯器への交換費用の相場と内訳
交換費用の目安は、工事内容や設置環境によって異なりますが、以下が一般的な相場です。
標準的な給湯専用タイプへの交換で15万〜25万円前後、追い焚き機能付きガス給湯器への交換なら20万〜35万円前後が目安です。
壁貫通型ガス給湯器と浴槽交換では、リモコン交換と水栓の設置も含めて約32~40万円程度が相場となります。
ユニットバス化へのリフォームは、75万〜150万円が一般的なそうばです。
内訳の基本は、本体価格、処分費、部品代、工事費、出張費。
壁穴の加工・配管工事・浴槽の交換が必要な場合は、追加費用が発生することもあります。
また、古い建物や集合住宅の場合、ガス管や給排水管の経年劣化が見つかると補修費が加算されるケースもあります。
必要な部品や作業内容は現場によって変わりますので、詳細な見積もりを知るためには現地見積もりが必要です。
バランス釜から給湯器への交換工事の流れ
バランス釜から給湯器への交換工事は、選ぶタイプによって工程が大きく変わります。
屋外設置型ガスふろ給湯器(エコジョーズ含む)に交換する場合は、旧バランス釜と浴槽を撤去した後、本体を住宅の屋外に新設または延長した配管で接続します。追い焚き機能付きの場合は、浴槽と給湯器をつなぐ風呂配管を新たに設置し、通電・ガス漏れ・作動確認を行うという、屋外での配管工事や壁貫通作業を伴う工程となります。
壁貫通型給湯器(ホールインワン・カベピタ)に交換する場合、旧バランス釜と浴槽を一時的に撤去し、給湯器を通すための壁の開口部を確認・補強します。その後、新しい給湯器を壁に埋め込み設置し、ガスや各種配管を接続してリモコンを取り付け、試運転を行うという、浴槽の脱着と壁穴施工を伴う工程が必要です。
ユニットバス化のリフォームは、まず現地調査に基づき新しいユニットバスのプランを決定します。その後、既存の浴室をすべて解体・撤去し、新しいユニットバスに合わせた給排水、電気、ガスの配管工事を行います。必要に応じて土間コンクリートを打設した後、新しいユニットバスの壁、床、浴槽などを組み立て設置します。最後にドアやリモコンなどの部品を取り付け、通水・防水チェックといった仕上げ作業を経て完了します。
工事にかかる時間
バランス釜から給湯器への交換は、変更後の機種によって工事時間が変わります。
一般的には、バランス釜から屋外壁掛型ガス給湯器への交換が約4~8時間、壁貫通型給湯器への交換では約4~6時間、壁貫通型給湯器で浴槽交換を行う場合は5~8時間が目安です。
いずれもその日のうちに入浴可能なケースがほとんどとなります。
ユニットバスへのリフォームは工事の規模感が大きく、通常は工事に3~5日かかるのが一般的ですが、現場状況によっては1週間ほどかかることもあります。
なお、上記の工事時間には納期が含まれていません。
納期は工事事業者の仕入れ状況や流通状況によって変わるため、見積もり時に確認しておくことが重要です。
屋外壁掛型ガス給湯器や壁貫通型ガス給湯器など主流の機種であれば、一定数の在庫を用意している業者もいますので、早ければ即日中に工事ができることもあります。
交換時に注意すべきポイント
バランス釜から給湯器へ交換する際は、以下の点に注意が必要です。
まず、マンションやアパートでは管理規約の確認が重要です。外壁への設置や排気位置の変更が管理規約で制限されている場合があるため、事前に管理組合や大家への相談が必須となります。
また、給湯能力(号数)の選定も大切です。家族構成やお湯の使用量に応じて、4人家族向けの24号、2人世帯向けの20号、単身世帯向けの16号ど最適な号数を選びます。
さらに、見積もりを複数業者から取ることで、価格や工事内容の比較が可能になります。安さだけで選ばず、保証内容や施工実績、施工者が資格を有しているかなども重視することでトラブル防止につながります。
DIYでの交換は可能?
バランス釜の交換は、DIYでは絶対に行ってはいけません。
ガス機器の接続や燃焼調整には国家資格が必要で、無資格での施工は法律で禁止されています。
また、ガス漏れや爆発、一酸化炭素中毒など、命に関わる事故の原因となることもあります。
どうしても自分で対応したい場合は、撤去後の壁補修や浴槽交換など、ガスに関係しない作業のみに留め、機器設置は必ず専門業者に依頼しましょう。
まとめ:安全・快適な給湯環境のために早めの交換を
バランス釜は長年にわたり多くの住宅で活躍してきた設備ですが、老朽化や部品の供給終了により、今では給湯器への交換が主流となっています。
交換費用は決して安くはありませんが、安全性・快適性・省エネ性を考慮すると非常に高いコストパフォーマンスを持ちます。
10年以上使用している場合や、点火不良・ぬるいお湯しか出ないなどのトラブルが続く場合は、早めの交換検討が安心です。
古いバランス釜や風呂釜の交換や浴室リフォームは、給湯器交換のユプロにおまかせください。
ユプロはバランス釜やガス給湯器の交換取り付けに出張無料・年中無休で駆けつけます。
バランス釜の工事は、エコジョーズを含むガス給湯器への交換、壁貫通型ガス給湯器と浴室の取り換え、ユニットバス化リフォームすべてに対応可能です。
地域最速で対応いたしますので、バランス釜の故障や不具合でお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。






