
ご自宅でエコウィル(家庭用ガスコージェネレーションシステム)をご利用の皆様、設置から10年を過ぎ、そろそろ買い替えの時期ではないかと検討されていませんか?エコウィルは、ガスを使って発電と給湯を同時に行う優れたシステムでしたが、2017年に新規販売が終了し、現在は部品供給も順次終了しています。故障した場合、修理が困難になる前に、新しい給湯システムへの交換が必要です。
この記事では、エコウィルからの買い替え先として主流となる、エコキュート、エネファーム(家庭用燃料電池)、そしてコストパフォーマンスに優れるエコジョーズ(高効率ガス給湯器)の3つの選択肢に焦点を当て、それぞれのメリット・デメリット、交換にかかる費用相場、そして工事の際に注意すべき点を徹底的に解説します。
この記事でわかること
- この記事でわかること
- エコウィルの買い替え時期
- どの給湯器に買い替えるべきか
- 買い替えにかかる費用の相場
- 失敗を避けるための注意点”
エコウィルとは?
エコウィルは都市ガスやLPガスを燃料として、家庭で「発電」と「給湯・暖房」を同時に行う「家庭用ガスコージェネレーションシステム」です。
ガスエンジンで発電することで電気を作り、その際に発生する排熱を利用して湯沸かしや暖房をまかないます。
発電と給湯を同時に行うため、エネルギー利用率が約92%と高効率で、CO2排出量の削減も実現できるのが特長です。
2003年から2017年9月まで国内で販売されましたが、新規受付は終了となりました。
そのため、故障や不具合や寿命による買い替えの際は、別の給湯器を選定しなければなりません。
エコウィルの寿命
エコウィルの平均寿命は 約10~15年。
設置環境や機器の使用頻度など状況によりますが、標準かつメーカーが提示している寿命は10~15年です。
2017年に新規販売が終了しており、現在使用されているエコウィルは、本体や部品の老朽化が進んでいることから、多くの家庭で買い替え時期を迎えています。
買い替えの目安・故障のサイン
寿命である10年を超えると、下記のような症状が出やすくなります。
- 発電しなくなった、または停止が頻発する
- お湯の温度や出湯量が安定しない
- お湯がなかなか出ない
- 水漏れしている
- 焦げ臭い、ガス臭いなどの異臭
- リモコンにエラーコードが出る
- 運転音が以前より大きくなった
これらの症状が出た場合は、修理ではなく「買い替え」を検討すべきタイミングです。
買い替えの背景
エコウィルは2017年9月から新規販売が終了となり、修理に必要な部品の製造や供給も順次終了しています。
ほとんどのメーカーでは、エコウィルを含む給湯器の保守部品の保有期間は製造から10年と定められており、現在では修理対応ができないケースがほとんどです。
そのため、エコウィルが故障したり不具合を起こした際には、必要部品の調達が困難または高額で、修理自体が不可となるケースが増えました。
また、ガス発電機構を搭載しているため、一般的な給湯器修理業者では修理の対応ができず、専門技術を持つメーカー指定業者しか作業できないという制約もあります。
これらの背景から、エコウィルが故障した際には、修理よりも買い替えを選ぶのが現実的です。
エコウィルから買い替えるならどの機種がいい?
エコウィルからの買い替え先として、主に「エコキュート」「エネファーム」「エコジョーズ」の3つの省エネ給湯器が選択肢となります。
どれを選ぶかは、初期費用やランニングコスト、発電の有無をどう考えるかで変わりますが、簡単な選び方は以下のとおりです。
「電気代の大幅削減・災害対応重視」ならエコキュート
「導入コスト重視・使い勝手・設置条件重視」ならエコジョーズ
「光熱費をトータル節約・家庭内発電・省エネ意識」ならエネファーム
それぞれの省エネ給湯器について、概要と特徴、メリットやデメリットなどを以下で詳しく解説します。
エコキュート(電気ヒートポンプ式給湯器)
エコキュートは、空気中の熱を利用してお湯を沸かすヒートポンプ式の電気給湯器です。
「ヒートポンプユニット」と「貯湯ユニット」という2つの設備で構成されており、二酸化炭素(CO2)を冷媒として熱を移動させることによって水を加熱する仕組みです。
メリット
エコキュート最大のメリットは、ランニングコストの低さです。
電気料金が安い夜間電力の時間帯にお湯を沸かすため、給湯にかかる光熱費は他の省エネ給湯器と比べて最も安くなります。
火を使わず電気の力でお湯を沸かすことから燃焼を伴わず、CO2排出量は非常に少なく環境性能が高い、不完全燃焼による一酸化炭素中毒のリスクが無いなどのメリットもあります。
また、災害時には 貯湯タンク内の水を生活用水として利用可能。
同じ貯湯式の給湯器であるエネファームと比較すると、本体価格が安いため導入費用を抑えられます。
デメリット
エコウィルからエコキュートに買い替える際のデメリットは、初期費用がやや高いことと、発電機能が無くなることが、特に注意すべきポイントです。
貯湯量を超える量のお湯を急に使うと湯切れを起こすリスクがあり、瞬間湯沸かしができないためお湯を沸かすスピードが遅い点にも注意が必要です。
沸き増し機能を使うことで追加でお湯を作ることができますが、日中など夜間電力以外の時間に沸き増しすると、電気代が高くなる可能性も。
エコウィルと同じ貯湯式のため、広い設置スペースが必要です。
エネファーム(家庭用燃料電池)
エネファームは、都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気とお湯を作る、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムです。
発電した電気は家庭内で使用し、発電時の熱でお湯を沸かします。
エコウィルと同じで発電と給湯を同時に行うことができますが、光熱費の節約効果はエネファームの方が優れています。
自宅で発電と給湯を行いたい、電気代とガス代両方を節約したい場合には、エネファームへの買い替えが向いていると言えるでしょう。
メリット
エネファームはエコウィルと同じく発電と給湯を同時に行うことが可能で、発電効率と給湯効率はともに高水準。
発電した電気は家庭内で使うことができるため、電気会社からの購入電力が減り、送電時のエネルギーロスも発生しないため、非常に経済的です。
電気代とガス代の大幅な節約が可能で、環境への負荷も少ないです。
エネファームの導入は補助金制度の対象で、エコウィルからの買い替え金額を抑えることができます。
バックアップ給湯器にエコジョーズが搭載されていることから、貯湯タンクのお湯を使いきってもお湯切れを起こす心配はありません。
災害や停電など非常時に、ガスが供給されていれば発電・給湯を継続可能となる、災害対策に向いた機種も販売されています。
デメリット
エネファーム最大のデメリットは、導入コストが高いことです。
燃料電池ユニットと貯湯ユニットに加えてバックアップ給湯器が搭載されていること、機器の仕組みが複雑なことから、他の省エネ給湯器と比較して本体価格が非常に高額となります。
発電による電気代削減効果は大きいですが、燃料は電気とガスの両方ですので、燃料にガスを使用しないエコキュートと比較するとランニングコストは高くなる傾向にあります。
安全に使用するために定期メンテナンスが必要で、設置から10年間は無償のメンテナンスサポートサービスが利用できますが、10年目以降のメンテナンスは有償となります。
機器が複雑なため、故障時の修理費用が高く、対応に時間がかかることも。
エコウィルと同様に、発電ユニットと貯湯ユニットの設置スペースが必要です。
エコジョーズ(高効率ガス給湯器)
エコジョーズは、排熱を有効活用することで熱効率を向上させた高効率なガス給湯器です。
発電機能はありませんが、基本的な給湯と追い焚き機能、一部の機種では暖房機能が搭載されています。
燃料は都市ガスまたはLPガスで、ランニングコストが安く、エコキュートやエネファームと比べると構造が単純なため本体価格や工事費が安く人気があります。
エコウィルの買い替え時に「発電機能は不要」「給湯性能を重視したい」「交換費用を安く済ませたい」などを重視する方であればエコジョーズが後継として最適です。
メリット
エコジョーズはエコキュートやエネファームと比べて本体価格が最も安く、交換工事も比較的シンプルで済むため、導入費用を抑えることができます。
貯湯タンクが不要な瞬間湯沸かし方式の給湯器ですので、本体サイズがコンパクトで設置場所を選びません。
エコウィルから買い替えた場合、設置スペースに余裕ができ見た目もスッキリ。
既存のガス配管や給湯配管を多く利用できるため、工事期間を短く抑えやすいです。
瞬間式の湯沸かし方式を採用しているため、お湯の使い過ぎによる湯切れを起こす心配がなく、お湯をたくさん使うご家庭でも安心です。
水道直圧式のためシャワーの水圧が強く、勢いのあるシャワーを楽しめます。
デメリット
エコジョーズは導入費用が安いですが、エコキュートやエネファームと比較すると、ランニングコストは高くなります。
発電機能は備わっていないため、エコウィルからの買い替えでは電気代削減効果が無くなる点に注意が必要です。
また、貯湯タンクが無いため、災害時に断水した際に非常用の生活用水は確保できません。
エコジョーズは酸性のドレン排水が発生するため、排水処理用の配管を敷設する工事が必要です。
エコウィル買い替えの費用相場
エコキュートへの買い替えでは、費用は約30~80万円が目安です。
省エネ給湯器の中では、導入にかかる費用は中程度と言えるでしょう。
エコジョーズに買い替える場合は、約25~50万円が一般的な費用相場です。
本体価格も工事費用も比較的抑えられ、総額費用は最も安くなる傾向があります。
エネファームへの買い替えは、約100~190万円が目安です。
電気とガスの両方を節約できるため光熱費は抑えられますが、初期費用は高額となります。
上記の工事費用の目安は、エコウィルの撤去と処分費、新しい給湯器の設置、配管や配線の接続など、基本的な費用を含んだ価格を想定しています。
現場の状況によって必要な部品や人員、工事工程は異なるため、詳細な見積もり価格を出すには現地調査が必須です。
エコウィルからの買い替えで注意すべきポイント
電気・ガスなど光熱費プランの変更
エコウィルは発電機能を持つため、買い替え時には電力会社との契約変更が必要になることがあります。
エネファームへの交換では、発電システムとしての契約内容を見直しが必要なケースがあります。
エコキュートへ買い替える場合では、深夜電力を活用するオール電化プランへの電気契約の変更が必要となります。
エコジョーズはガスのみで給湯を行うため、電気料金プランの変更が必要です。
電気料金やガス料金のプランは会社や地域によって大きく異なります。
エコウィルから買い替える省エネ給湯器を決めたら、お住まいの地域の電気会社やガス会社の料金プランをしっかり確認しましょう。
設置スペースや配管を確認する
エコウィルと同様に発電ユニットと貯湯ユニットで構成されていますが、エネファームの方が本体が大きく排気設備も異なります。
設置場所の寸法や配管の位置関係は、事前に細かく確認しておく必要があります。
エコキュートに買い替える場合は、タンクや本体の設置スペースをよく確認しておきましょう。
貯湯タンクとヒートポンプの配置が変わる場合は、新しいエコキュートの重量を支えるための新たなコンクリート基礎工事が必要になります。
エコジョーズへの買い替えでは、エコウィル用配管のリフォームやドレン排水の配管新設が必要です。
必要な機能を確認する
省エネ給湯器は種類によって機能や出来ることが異なります。
エコウィルは発電機能付きの給湯器でしたが、同じ機能を持つのはエネファームのみとなっており、エコジョーズやエコキュートは発電機能がありません。
災害時の対策を重視する場合は、タンク内のお湯を非常用水として使用できる貯湯式であるエコキュートかエネファームを選ぶ必要があります。
交換後に後悔しないために、自分が必要とする機能が買い替える給湯器に備わっているか、しっかり確認しておきましょう。
エコウィルの不調に気付いたら早めの買い替えを
エコウィルの不調を感じたら、できるだけ早めに買い替えの準備を進めることが大切です。
エコウィルはすでにメーカーの生産販売が終了したため修理や同機種への交換はできません。
貯湯式のエコウィルは本体サイズが大きく重量があるので、2名で撤去作業を行うため人員の確保と日程調節が必要です。
買い替えるには設置場所や配管位置の確認が必要で、交換機種の選定や見積もり、発注などにも時間がかかります。
また、買い替える給湯器によってはガスや電気契約の確認、業者選びや機種の比較にも時間を要します。
特に、給湯器が故障しやすい寒い時期では工事の需要が急増するため、予約が取りづらく納期に3週間以上かかることも珍しくないのです。
お湯が使えなくなると、入浴や洗い物など日常生活に大きな支障が出ます。
エコウィルが完全に壊れてから慌てて買い替えを検討すると工事が間に合わなくなる可能性があるため、異音や異臭、電源が不安定、エラー表示など小さな不調を感じた段階で、交換の準備を進めることが賢明です。
補助金制度の活用
エコウィルからエコキュート・エコジョーズ・エネファームへ買い替える際は、「給湯省エネ2025事業」や「住宅省エネ2025キャンペーン」をはじめ、国・自治体による補助金制度が利用可能です。
給湯器のスペックや要件を満たした場合、エコキュートでは最大21万円、エネファームでは最大20万円、エコジョーズでは最大7万円の補助金を受け取ることができます。
これらの補助金を活用することで、特に高額なエネファームや高性能エコキュートの導入費用を大幅に軽減できる可能性があります。エコジョーズも補助金の対象となることが多いため、必ず最新の補助金情報を確認し、申請サポート体制が整った業者を選びましょう。
なお、補助金の申請は申請は登録販売店や工事業者経由で行うのが原則で、個人申請は不可となります。
そのため、補助金制度を利用したい場合は対応機種を扱う登録事業者に相談・見積もり依頼がおすすめです。
信頼できる専門業者選び
エコウィルは特殊な構造を持つため、撤去・交換には専門知識と資格が必要です。
選ぶ際は以下のポイントを押さえましょう。
- エコウィル撤去実績がある業者を選ぶ
- 有資格者(ガス機器設置スペシャリスト・電気工事士)が在籍していることを確認
- 見積もり時に撤去・廃棄・設置費がすべて含まれているか確認する
- アフターサービス・保証期間の明示があるかチェック
実績豊富な専門業者であれば、現地調査・見積もり・工期調整から、古いエコウィルの撤去と新しい給湯器の取り付け設置、試運転までスムーズに行うことが可能です。
エコウィル買い替えのまとめ
エコウィルは現在、新規販売や部品供給が終了しており、修理交換ができず、故障時には別の給湯器への買い替えが必須です。
買い替え機種のおすすめは、エコキュート、エネファーム、エコジョーズの3種類。
ランニングコストの低さならエコキュート、発電と安定性を重視するならエネファーム、そして初期費用を抑えつつ高い給湯効率と安定性を求めるならエコジョーズを選ぶと良いでしょう。
費用やメリットデメリット、電気やガスの契約変更、ライフスタイルに合わせた機能の選定、補助金制度の利用、信頼できる業者選びなど、エコウィルの買い替えには比較検討する項目が多く、工事にも時間がかかります。
そのため、故障や不具合に気付いたら出来るだけ早く買い替えを検討することをおすすめします。
エコウィルの買い替えをご検討中でしたら、ぜひ「給湯器交換のユプロ」にご相談ください。
ユプロではエコウィルからエコジョーズ、エコウィルからエコキュートへの取り換え工事に対応可能です。
有資格かつ実績豊富なスタッフが見積もりから工事まで一括対応いたしますので、安心して工事をおまかせください。






