
給湯器のエラーコード「632」は、ふろ循環系統のトラブルを示すエラーで、比較的よく見られる症状のひとつです。
原因によっては自分で改善できるケースもありますが、給湯器の内部部品の不具合や寿命が関係している場合は、早めの修理や交換判断が重要になります。
この記事では、給湯器エラー「632」の意味や主な原因、自分でできる確認方法、修理・交換の判断基準までを詳しく解説します。
この記事でわかること
- 給湯器のエラーコード「632」の原因
- 自分でできる対処方法
- 修理交換が必要な状況
- 修理交換の費用目安と依頼先
エラー「632」とは
エラーコード「632」は、ガス給湯器の「ふろ循環系統のトラブル」を知らせるエラーです。
追い焚きの循環不良・水流スイッチ異常などが原因で、「浴槽内のお湯をうまく吸い込めず、追い焚きができない」状態であることを示しています。
エラー「632」 メーカーごとの定義
| メーカー | エラー内容 |
|---|---|
| リンナイ | おいだきの水流スイッチ異常 |
| ノーリツ | ふろ循環不良 |
| パロマ | 循環水流スイッチOFF異常 |
| パーパス | ふろポンプ異常 |
1990年代後半以降、エラーコードは給湯器の主要メーカー間で統一されています。
エラー「632」の場合、上記のようにメーカーごとに定義は異なりますが、「浴槽のお湯をうまく吸い込めず、追い焚き運転が成立していない状態」であるという点では同じです。
エラー「632」の具体的な症状
エラー「632」が発生すると、次のような症状が見られることが多くなります。
- 給湯は使えるが、ふろ機能・追い焚き機能が使えない
- 追い焚きしても湯温が上がらない
- 追い焚きがすぐ止まる
- 追い焚きすると何度もエラーが出る
シャワーやキッチンの給湯は問題なく使えることが多く、「お風呂だけが使えない」という状態になりやすいのが、エラー「632」最大の特徴です。
エラー「632」 よくある原因
浴槽の湯量不足
エラー「632」で最も多い原因が、浴槽内の湯量不足です。
お風呂の追い焚きは、浴槽内のお湯を循環口から吸い込み、給湯器本体まで送って温め直して、浴槽に戻す仕組みになっています。
循環口(循環アダプター)の上までお湯が溜まっていないと、追い焚き配管に空気が入り込んでポンプが空回りし、循環不良を起こしてエラー「632」が発生することがあるのです。
メーカーや機種によって異なる場合がありますが、ほとんどの追い焚き付き給湯器では「循環口上部から約5cm以上」の水位が必要と言われており、5cmに満たないと吸い込み不良を起こしやすくなります。
循環口フィルターの詰まり・取り付け不良
浴槽の循環口には、追い焚き配管内に異物が侵入しないようにフィルターが取り付けられています。
フィルターが詰まりを起こすと、お湯の吸い込みが弱くなり、追い焚きが正常に行えずエラー「632」を起こすことがあります。
フィルターに詰まりやすいのは、髪の毛・湯垢・石けんカス・入浴剤のカス・糸くずなどのゴミや汚れです。
炭酸ガス系・とろみ系の入浴剤も、配管やセンサーに付着しやすく、循環不良の原因になりやすいと言われています。
また、清掃後にアダプターを最後までしっかり取り付けていない「半刺さり」状態でも、エラー「632」が発生することがあります。
追い焚き配管の凍結
冬場や冷え込んだ朝方などは、追い焚き用のふろ配管内の水が凍結し、循環ルートが氷で塞がれてエラー「632」が出ることがあります。
配管凍結時は、無理に何度も追い焚きを行うと、ポンプや配管を傷める可能性があるため注意が必要です。
自然解凍または凍結対策(保温・凍結防止運転など)を行うようにしましょう。
機器の故障
エラー「632」の原因が、浴槽の湯量不足、フィルターの詰まり、追い焚き管の凍結のいずれにも当てはまらない場合は、給湯器内部の故障が疑われます。
代表的な原因は、以下が例として挙げられます。
- 循環ポンプの故障
- モーターの焼損
- ふろ水流スイッチ(流量センサー)の故障
- 追い焚き用電磁弁の不具合
- 制御基板の故障
給湯器の内部に問題が起きている場合、分解や測定など専門的な対応が必要となるため、一般のご家庭内では対処することができません。
メーカーによる修理や、給湯器専門業者による交換が必要な状況です。
エラー「632」 自分でできる対処方法
浴槽の湯量を増やす
浴槽のお湯が循環口の上まで十分にあるか確認し、足りなければ水を追加または足し湯をしてから、再度追い焚きを試してみましょう。
水位は、循環口の上5cm程度が目安です。
循環アダプターの清掃・取り付け
循環アダプターを取り外し、フィルター部分を柔らかいブラシなどで洗浄します。
髪の毛や繊維などのゴミ、皮脂や石鹸カスはフィルターの目に詰まりやすいため、丁寧にこすり落とすようにしましょう。
とろみのある入浴剤や炭酸ガス系の入浴剤を頻繁に使用していると汚れが付着しやすいため、配管洗浄剤の使用や入浴剤の種類見直しも検討することをおすすめします。
清掃後のフィルターを戻す際は、取り付け不良がないように注意しましょう。
フィルターやアダプター本体が、浴槽の穴にしっかり奥までねじ込まれ、固定されているか確認してください。
凍結した追い焚き配管の解凍
追い焚き用のふろ配管が凍結している場合は、無理に何度も追い焚きを行わず、日中の気温上昇による自然解凍を待ちましょう。
凍結状態で追い焚きを続けると、ポンプや配管に余計な圧力がかかり、破損の原因になります。
急ぎたいときは、やかんやポットで用意したお湯を浴槽に足す方法もおすすめです。
浴槽にお湯を足す場合は、熱湯を注ぐと急激な温度変化で配管が破損する恐れがあるため、絶対に熱湯は使用せず40℃程度のぬるま湯を使用してください。
また、浴室暖房やヒーターなどを使って浴室空間を全体的に温めるなど、配管周りを間接的に暖める方法も追い焚き配管の凍結解消に有効です。
呼び水を試す
給湯器の呼び水とは、追い焚き付き給湯器において、追い焚き配管や循環ポンプ内に水を満たし、正常に循環できる状態にするための水のことを指します。
追い焚きは浴槽のお湯を循環ポンプで吸い込んで給湯器本体まで送り、温め直して浴槽に戻す仕組みです。
循環用の追い焚き配管やポンプ内から水が抜けて空気が入った状態だと、ポンプが空回りして正常に水を吸い上げられず、エラー「632」の発生に繋がります。
呼び水の一般的なやり方は、「浴槽の水位確保」「ホースで配管に水を送る」「循環アダプター側から呼び水する」の3つの方法があります。
呼び水が切れた時の対処方法は、給湯器のメーカーや機種によって大きく異なるため、必ず取扱説明書に記載された手順で行ってください。
一般的な呼び水の方法を、以下で紹介します。
浴槽の水位確保
「浴槽の水位確保」は、上記でご紹介した「浴槽の湯量を増やす」と同じです。
浴槽内の水が循環口以下では、呼び水しても空気を噛みやすくエラー「632」が解消しません。
循環アダプターが完全を完全に水没させ、アダプターの上5cm以上になるまで水を足しましょう。
ホースで配管に水を送る
「ホースで配管に水を送る」方法は、給湯器下部にある「給湯水抜き栓」と「ポンプ水抜き栓」に付属ホース(呼び水チューブ)を接続して行います。
まず給湯水抜き栓を開き、ポンプ水抜き栓側から水が出てくるまで水を入れてポンプ内の空気を押し出します。
水がしっかり出てきたら、給湯水抜き栓→ポンプ水抜き栓の順で閉めます。
通常どおり「ふろ自動」または追い焚き運転を行い、正常に循環するか確認しましょう。
循環アダプター側から呼び水する
「循環アダプター側から呼び水する」方法は、古い強制追い焚き機などで有効な方法です。
具体的な手順は、浴槽の循環口のフィルターを外し、ホース等で循環口に直接水を注ぎ込み、配管内から空気を追い出すイメージでゆっくり水を送ります。
空気が抜けて循環ポンプの音が安定したら、フィルターを元通り取り付けて追い焚き運転ができるかご確認ください。
給湯器本体のリセット
エラー「632」の原因が一時的な誤作動の場合は、給湯器をリセットすることでエラーが解消する可能性があります。
給湯器のリセットは、リモコン操作か、本体の電源入れ直し、二通りの方法がございます。
リモコンで給湯器をリセットする場合は、まず家の中すべての給湯を止め、リモコンを「OFF・切」の状態して10~60秒程度待機して、再度リモコンを「ON・入」にします。
給湯器本体の電源を入れ直してリセットする場合は、家中の給湯を止めてリモコンの運転を「OFF・切」にして、給湯器本体の電源プラグをコンセントから抜きます。10~60秒ほど待機してから電源プラグを再度コンセントに差し込み、リモコンを「ON・入」にします。
リセット操作を行った後は、エラー表示が消えているか、給湯器が正常に動作しているか、追い焚きができるかなどを確認しましょう。
給湯器エラー「632」修理・交換の判断基準
上記の対処やリセット操作を行っても、すぐにエラー「632」が表示される場合や、追い焚き運転時に「ゴー」「ガラガラ」といった異音が発生する場合は、給湯器内部の循環系統に不具合が生じている可能性が高いです。
循環ポンプや水流スイッチ、制御基板の劣化・故障などが原因として考えられますが、ご自身で対処することはできないため、業者による修理対応が必要となります。
また、給湯器の使用年数が10年以上経過している場合は、主要部品の経年劣化が重なり、修理をしても別の箇所で不具合が再発するケースも少なくありません。
お使いの給湯器が使用開始から10年を超えているなら、修理費用と本体交換費用の両方を比較し、給湯器の交換を含めて検討することをおすすめします。
修理にかかる費用
エラー「632」の症状がある給湯器の修理は、メーカー点検の結果により水流スイッチ、追い焚き循環ポンプ、電装基板などの部品交換が行われることが一般的です。
たとえばノーリツ製給湯器の場合、修理費用の目安は18,000円〜55,000円(税込)程度が一つの目安として提示されています。
ただし、交換部品の種類や設置状況、出張費の有無などによって費用は前後するため、正確な金額はメーカーによる点検後の見積もりで確認する必要があります。
交換にかかる費用
追い焚き機能付きガスふろ給湯器の交換費用は、本体・リモコン・標準工事費込みでおおよそ15万〜35万円前後が一般的な相場です。
給湯能力(号数)や設置タイプ、従来型かエコジョーズか、暖房機能の有無によって価格は大きく変動します。
正確な交換費用を把握するためには、現地調査を行ったうえでの見積もり取得が必須となります。修理費用が高額になる場合や、使用年数が長い場合は、長期的な安心を考えて交換を選ぶケースも多くなっています。
給湯器の修理・交換はどこに依頼するの?
給湯器の「修理」と「交換」は、依頼先が異なる点に注意が必要です。
まず修理については、原則としてメーカーまたはメーカー指定の代理店のみが対応可能であり、一般の施工業者では修理を行うことができません。
そのため、部品交換や内部点検が必要な場合は、メーカー窓口へ連絡する必要があります。
給湯器の交換であれば、メーカー以外の業者にも依頼できます。
ガス会社や家電量販店、ホームセンター、工務店、給湯器交換の専門業者など、選択肢は幅広く、それぞれに価格や対応スピード、アフターサポートなどの違いがあります。
中でもおすすめなのが給湯器交換の専門業者で、給湯器に特化しているため対応が早く、余分なコストを抑えた価格設定が期待できます。
依頼先を決める際は、必ず複数社から相見積もりを取り、費用だけでなく、施工に必要な資格の有無や保証内容、スタッフの対応や信頼性などを総合的に比較して選ぶことが、後悔しないためのポイントです。
まとめ:給湯器エラーコード「632」原因と対処法
給湯器のエラー「632」は、追い焚きだけが使えないという状態から始まるため、つい後回しにされがちです。しかし、循環不良を放置すると循環ポンプや制御基板への負担が増し、結果的に修理費用が高額化するリスクがあります。
一時的な湯量不足やフィルター詰まりであれば自分で解消できる場合もありますが、改善しない場合は無理に使い続けず早めにメーカーや専門業者へ相談することが安心です。
給湯器の状態を正確に把握したうえで、修理か交換かを判断することが、無駄な出費や突然のお湯トラブルを防ぐことにつながります。
エラー「632」の給湯器交換をお考えでしたら、給湯器交換のユプロにおまかせください。
ユプロは年中無休・地域最速での給湯器交換に対応しており、各メーカーの給湯器をご用意しているため、一般的な追い焚き付き給湯器であれば最短即日での交換が可能です。
有資格者が責任をもって施工を行い、安心・安全な工事を低価格でご提供いたします。
給湯器交換をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。






