追い焚き機能が搭載されている給湯器は、オートとフルオートの2種類があります。
オートとフルオートはそれぞれメリットとデメリットがあり、どちらが良いかは各家庭によって変わります。
家族の人数や生活スタイル、予算などの条件に合わせてベストな種類を選びましょう。
給湯器のオートとフルオート
基本機能と違い
オートタイプの給湯器は、「お湯はり、追い焚き保温」が自動で、足し湯はリモコン操作する必要があります。
フルオートタイプの給湯器は、「お湯はり、追い焚き保温、足し湯、配管洗浄」が全自動で行われます。
お湯はり機能は共通していますが動作に違いがあり、フルオートは設定した水位まで湯量を自動で調整、オートは設定した量のお湯を浴槽に注ぎます。
以下は、オートとフルオートそれぞれの基本機能です。
フルオートの
基本機能
-
お湯はり
リモコンのスイッチ操作で、設定温度・設定水位まで自動でお湯はりを行います
-
追い焚き保温
浴槽の湯温が下がれば自動で追い焚き保温を行います
-
たし湯
設定水位より約4cmお湯が減ると自動で足し湯を行います
-
配管クリーン
排水時に追焚配管内に新しいお湯を流して汚れを洗浄します
オートの
基本機能
-
お湯はり
リモコンのスイッチ操作で、設定温度・設定水量まで自動でお湯はりを行います
-
追い焚き保温
浴槽の湯温が下がれば自動で追い焚き保温を行います
-
たし湯
お湯が減ったらリモコンボタンを操作して足し湯を行います
オートとフルオートの違い 比較表
機能 | フルオート | オート |
---|---|---|
給湯 | 〇 | 〇 |
自動お湯はり | 〇 | 〇 |
自動追い焚き・ 自動保温 |
〇(一定時間毎) | 〇(一定時間・入浴検知) |
たし湯 | 〇(自動) | 〇(手動) |
残り湯の 沸かし直し |
〇(水位検知・ 設定水位まで注湯) |
△(設定湯量を注湯) |
入浴検知・ 自動沸きあげ |
〇 | ✕ |
配管自動 クリーン |
〇 | ✕(パロマのオートは〇) |
本体価格 | ✕ | 〇 |
ガス代・ 水道代 |
✕ | 〇 |
フルオート独自の機能について
フルオートは浴槽内を常に快適な状態を維持する機能が搭載されています。
フルオートの特別機能①
水位検知・自動足し湯機能
フルオートタイプの給湯器には水位センサーが搭載されています。
ダイヤフラムと呼ばれる圧力測定装置を利用した水位センサーが追い焚き配管にかかる水圧を測定することによって、浴槽内の湯量を計測。
かけ湯や入浴などで浴槽内のお湯が設定水位より約4cm減ると、自動でお湯を追加します。
また、残り湯の沸かしなおしや追い焚きの際も、残り湯の量に関わらず設定した水位になると自動でお湯をストップするため、お湯があふれて無駄になる心配がありません。
フルオートの特別機能②
入浴検知・自動沸き上げ機能
通常機能の追い焚き保温は一定時間ごとに湯温をチェックと追い焚きを行いますが、気温の低い冬や体が冷え切っている時などタイミングや季節によってはお風呂のぬるさが気になることも。
フルオートは通常の追い焚き保温機能に加え、人の入浴を検知して自動で追い焚きを行う機能を搭載。
冷えた体で湯船に浸かった時や2番目以降の入浴でも、フルオートなら「ぬるい」と感じる前に自動で素早くお湯を沸き上げるので快適です。
フルオートの特別機能③
追い焚き配管の自動洗浄機能
追い焚きは浴槽内のお湯を給湯器本体まで循環させ、温め直してから浴槽にお湯を送ります。
人が入浴したお湯には垢や皮脂汚れが溶け出しており、狭い配管内に付着・蓄積して雑菌が繁殖する原因となります。
フルオートは浴槽の栓を抜くだけで、約5リットルの新しいお湯を追い焚き配管内に勢いよく流して洗浄。
配管洗浄の無い機種と比較すると、残り湯内の一般細菌を3分の1以下まで減らすことができるのです。
オートとフルオート、
どっちがおすすめ?
簡単な選び方として、便利さと衛生面を重要視するならフルオート、料金を抑えるならオートがおすすめとなります。
給湯器は約10年使用するため、合わない方を選ぶと後々気になる点が出てくるかもしれません。
ライフスタイルや家族構成、求める機能や予算を考慮して選ぶようにしましょう。
オート
オートのメリット
- 本体価格が安い
- お湯はり・追い焚きが自動でできる
- 自分の好きなタイミングで足し湯ができる
オートのメリットはコスト面にあります。
追い焚きができる給湯器としての便利機能が一通りそろっており、多機能なフルオートよりも本体価格が低いです。
また、オートは追い焚きや足し湯を手動のリモコン操作で行うため、必要な時にだけ機能を使うことになることから、全自動のフルオートより光熱費もかかりにくい傾向にあります。
オートのデメリット
- 残り湯の沸かしなおしで湯量がバラつく
- 足し湯はリモコン操作が必要
- 追い焚き用配管に汚れが蓄積しやすい
オートは機能が限定されているため、フルオートに比べると利便性や快適さは低くなります。
浴槽のお湯がすぐに足りなくなってしまう人数の多いご家庭など、足し湯を頻繁に行う状況には不向きと言えます。
オート給湯器が
おすすめの方
- 給湯器の交換費用を安くしたい
- お風呂にかかる光熱費・ランニングコストを抑えたい
- 追い焚きや足し湯の機能は必要だが、使う頻度が低い
- 自動湯沸かしと追い焚きの機能は必要だが、機能はシンプルで良い
フルオート
フルオートのメリット
- リモコンを使わず追い焚きと足し湯ができる
- 浴槽内の湯量と温度がいつでも安定している
- 配管内に汚れが溜まりにくい
- 足し湯・残り湯の沸かし直しでお湯が溢れない
フルオートは水浴槽内の湯温・湯量を自動でチェックしており、お湯が減ったら足し湯を、湯温が下がれば追い焚きを自動で行います。
追加操作を行う必要がなく、いつでも快適な温度と水位のお風呂に浸かることができます。
お湯を排水する際には追い焚き配管を自動で洗いなおすため、衛生面が気になるならフルオートが良いでしょう。
フルオートのデメリット
- 本体価格が高い
- 光熱費がかさむ可能性がある
デメリットは主にコスト面。多機能なフルオートはオートに比べると価格帯が上がります。
給湯器をメーカーから直接購入する場合は約4~7万円、一般の給湯器施工会社は値引きがきいて1~1万5千円ほどフルオートが高くなります。
また、追い焚き保温や足し湯が自動だと便利な反面、不要なタイミングでお湯の追加や温めなおしを行ってしまうこともあります。
使い方によっては水道代やガス代がといった光熱費が高くなることがあるため、生活に合わせて設定を変えることが大切です。
フルオート給湯器が
おすすめの方
- お風呂の湯沸かしや追い焚き保温、足し湯を全自動で行いたい
- 追い焚きや足し湯の機能を使う頻度が高い
- 汚れやすい追い焚き用配管を自動で洗い流す機能がほしい
- 残り湯を沸かしなおすことが多い
なお、もともとフルオートをお使いであれば、交換する給湯器もフルオートがおすすめとなります。
オートに変更するとこれまで自動だった機能が使えなくなり、不便さを感じる恐れがあるからです。