給湯専用ガス給湯器についての解説です。
給湯器の種類の中でもっともシンプルな給湯専用ガス給湯器について、機能の詳細、オートストップ有り・無しの違い、高温水供給式(高温指し湯)とは何かの解説や、交換設置にかかる概算の費用、おすすめ商品についてなど詳しくご紹介します。
給湯専用ガス給湯器の基本機能と特徴
給湯専用タイプの給湯器が持つ機能はシンプルで、機器本体でお湯を沸かし、配管を通してシャワーや蛇口へ供給する機能のみとなっています。
お風呂のお湯はりを行う場合は、自分で蛇口を開ける必要があります。
浴槽の追い焚きや自動保温、配管洗浄といった便利機能は搭載されていませんが、機能がシンプルですのでそのぶん本体価格や交換費用が他の給湯器よりも安いです。
給湯専用給湯器のお湯はり機能
給湯専用タイプのガス給湯器は、浴槽へのお湯はりは蛇口から直接給湯を行います。
オートストップ無し、オートストップあり、高温水供給式(高温指し湯)の3種類があり、それぞれお湯はり機能に違いがあります。
オートストップなし
オートストップ機能がない場合、お湯はりが終わった後は、すぐに手動で蛇口を閉める必要があります。
リモコン操作でお湯はりを行い、設定した量のお湯を排出し終えるとキッチンリモコンからお湯はり終了のアナウンスが流れますが、アナウンス後もお湯は止まりません。
蛇口を閉め忘れると、お湯が浴槽からあふれてしまうため注意が必要となります。
オートストップあり
オートストップ付きの給湯専用給湯器は、お湯はりが終わるとリモコンのアナウンス音が流れ、お湯を自動でストップ。
蛇口の閉め忘れでお湯を無駄にする心配がありません。
お湯は給湯器の本体が強制的に止めているため、お湯はり設定を解除しなければ、ほかの蛇口やシャワーなどでお湯が使用できません。
そのため、お湯はり後は手動で蛇口を閉めて、リモコン操作でお湯はり解除の操作を行います。
高温水供給式(高温差し湯)タイプ
リモコン操作でお湯はりを開始し、設定した湯量・湯温でお湯はりが終わると自動でお湯が止まります。
高温水供給タイプは、追い焚き感覚で浴槽内のお湯を温め直す「高温差し湯」機能を使うことができます。
リモコンの高温差し湯ボタンを押すと、約80℃のお湯を浴槽内に勢いよく流して冷めたお湯を温めます。
浴槽内のお湯を再利用する追い焚きと違い、新たにお湯を追加するためお湯の量は増えます。
給湯専用給湯器の号数
給湯専用給湯器の号数は、16号、20号、24号の3種類が一般家庭向けに使用されています。
号数は給湯器の給湯能力を表しており、号数の数字が高いほど一度にたくさんのお湯を供給することができます。
号数は数字が低いほど価格が安いですが、低すぎる号数を選んでしまうと出湯量が物足りず不便さを感じる、反対に号数が高すぎると最大能力を生かせず無駄が生じることもございます。
家族構成やライフスタイル、同居人数が今後変化するかなどを考慮して、適切な号数を選定しましょう。
- 16号
-
16号の給湯専用ガス給湯器は、「単身世帯、お湯を使う時は1か所だけ」という状況での使用に向いていて、1人暮らし向けの賃貸マンションやアパートで設置されていることが多いです。
16号の給湯器は1分間に約16リットルのお湯を作ることができ、1か所でお湯を使うのに十分な給湯能力を持っています。
シャワーのみ・お皿洗いのみなど1か所での給湯であれば年間を通して快適な量のお湯を使うことができます。
- 20号
-
20号の給湯専用ガス給湯器は、「2~3人での使用、追い焚きをしない」状況での使用に向いており、一部の単身者向けマンション、ファミリータイプの賃貸住宅、戸建て住宅など幅広く利用されています。
20号の給湯器は1分間に約20リットルのお湯を作ることができます。
2カ所同時にお湯を出すことができる出湯能力のため、入浴と洗い物を同じ時間に行ってもお湯が細くならず快適に使えます。
- 24号
-
24号の給湯専用ガス給湯器は、「使用人数4人以上、追い焚きをしない」状況において選ばれることが多いです。
築年数の古いファミリー向けマンションや一軒家といった一般住宅のほか、給湯室やシャワールームが用意されている会社、一部の美容室などでも使用されることがあります。
24号の給湯器が1分間に出せるお湯の量は24リットルで、浴室シャワーとキッチンと洗面台など複数個所で同時にお湯が使えるパワフルタイプとなります。
給湯専用給湯器の号数変更について
一軒家・戸建て住宅で給湯専用給湯器の号数を変更する場合、ガスメーターの号数によって工事の可否が変わります。
基本的に24号から20号、20号から16号など号数のダウンは特に制約なく行えます。
設置されているガスメーターの号数が4号メーターだった場合、給湯専用給湯器の号数は20号まで設置可能なため、16号から20号への号数アップが可能です。
16号または20号から24号に号数をアップしたい場合は、ガスメーターの号数が6号以上である必要があります。
ガスメーターはガス会社に依頼すると、無償で交換してもらえるため、24号へのアップがご希望でしたらご契約中のガス会社に交換を依頼しましょう。
マンションやアパートといった集合住宅では、号数のアップ・ダウンができるかは管理会社やオーナー様に確認が必要です。
管理規約で号数変更が禁止されている場合や、建築物全体のガス供給量や配管の径などによっては、号数変更ができない場合がございます。
給湯専用給湯器の交換費用
給湯専用ガス給湯器の交換費用は、オートストップ無しが8~13万円、オートストップ有りが12万~17万円、高温水供給式タイプが17万5千~22万円が、おおよその目安となります。
内訳は標準的な工事を行った場合で、給湯器の本体価格+リモコン代+標準工事費+処分費の合計金額を想定したものです。
給湯専用給湯器の種類 | 交換費用の目安 |
---|---|
オートストップ無し | 約7~13万円 |
オートストップ有り | 約12~17万円 |
高温水供給式(高温指し湯) | 約17万5千円~22万円 |
※エコジョーズは上記価格より約1万5千~3万円アップ |
給湯専用給湯器の交換にかかる実際の金額は、設置タイプや号数、従来型またはエコジョーズ、現場状況、使用する部品など様々な要因によって上下します。
そのため詳細な見積もり金額をお出しするには現地調査が必要ですので、上記は参考価格となります。
給湯専用給湯器の機能変更
交換の注意点
給湯専用ガス給湯器の交換時期
給湯器の寿命は一般的に約10~15年と言われており、給湯専用タイプの給湯器も同様です。
各メーカーは「標準的な使用状況における家庭用給湯器の使用期間は10年」と定めており、10年ごとの交換を推奨しています。
基本的には10年ごとの交換が最適となりますが、お湯の使用頻度が高い・使用環境が特殊などの状況では寿命が短くなることもございます。
そのため、故障の症状・異常が発生した場合は安全のためその時点での交換がおすすめです。
給湯専用給湯器の故障の症状・交換のサイン
- お湯の温度が不安定で調節できない
- お湯が出るまで時間がかかるようになった
- リモコンにエラーコードが表示される
- 給湯器本体から異音・異臭がする
給湯専用給湯器に追い焚き機能を追加するには
給湯専用タイプの給湯器を使われていて、追い焚き機能を追加したい場合は、追い焚き機能が搭載された「ふろ給湯器」への交換が必要です。
ふろ給湯器の追い焚き機能は、浴槽内のお湯を給湯器本体まで循環させて再加熱する仕組みで、お湯の循環には追い焚き専用の配管を使います。
そのため、追い焚き用の配管が通ってない住宅であれば新たに配管を通さなければならず、浴室の壁に穴を開ける・給湯器本体と浴室の位置関係によっては別室の壁の解体が必要になるなど、工事の規模が大きくなります。
また、浴槽に追い焚き用の循環口が無い場合は浴槽の交換も必要です。
大掛かりなリフォームとるため、費用が高くなる点に注意しなければなりません。
マンションの場合は給湯器の機能変更そのものが禁止されている場合もあるため、分譲であっても工事の可否は管理会社に確認しましょう。
高温水供給式(高温差し湯)タイプから追い焚き付き給湯器への変更について
高温水供給式の給湯専用給湯器をお使いの場合、浴槽に循環口が取り付けられており一見すると追い焚き付き給湯器にすぐ交換・使用できそうに思えますが、仕組みが異なるため新しい配管の設置が必要です。
追い焚き付きのふろ給湯器(オート・フルオート)は、追い焚き用の配管が2本セットとなっており、それぞれ浴槽内のお湯を給湯器に戻す「戻り」・温め直したお湯を浴槽に戻す「往き」を担当します。
一方、高温水供給式(高温差し湯)の給湯専用給湯器は、差し湯用の配管は「往き」のみであり「戻り」の配管はありません。
したがって、高温水供給式から追い焚きふろ給湯器に変更する場合は、往き戻り2本セットになっている追い焚き用の配管を通す工事が必要となります。
浴槽の裏側で作業を行うため、壁の加工・分解などの作業が必要で、工事の規模が大きく費用も高額になる可能性が高いです。
給湯専用給湯器を従来型からエコジョーズに変更する場合
エコジョーズは省エネ型のガス給湯器で、給湯専用給湯器にも従来型とエコジョーズタイプがございます。
現在使用されている従来型の給湯専用ガス給湯器をエコジョーズに交換する場合、戸建て住宅の場合は基本的に取り換え可能です。
マンション・アパートの場合は、給湯器の設置場所がドレン排水を処理できない構造となっている場合は、通常エコジョーズの設置ができません。
ドレン排水を浴室の排水に流すドレンアップ方式や三方弁方式を用いた場合は設置可能ですが、部品代がかかる点に注意が必要です。
また、管理規約で給湯器の種類変更が認められていない場合もございますので、分譲でもエコジョーズへの交換ができるかは管理会社などに確認を取っておきましょう。