マンションなど集合住宅での給湯器について、交換にかかる費用、誰が費用を負担するのか、交換機種選びの注意点などの解説です。
マンションの給湯器交換にかかる費用
給湯器交換の費用は、給湯器の本体の金額・リモコン料金・標準工事費・処分費の合計金額がベースとなります。
ユプロで工事を担当させていただいた場合、マンション用ガス給湯器を交換する際にかかる費用は、給湯専用で7~14万円、追い焚き付き風呂給湯器で16~22万円、給湯暖房熱源機で23~30万円が大まかな目安となります。
給湯器の種類 | 交換費用の目安 |
---|---|
給湯専用 | 約7~14万 |
ふろ給湯器(追い焚き付き) | 約16~22万 |
暖房給湯器 | 約23~30万 |
エコジョーズは約2~6万円アップ |
給湯器の本体価格は給湯専用や追い焚き対応といった機能のほか、号数や設置タイプ、従来型か省エネ型かなどによって変わります。
マンションやアパートといった集合住宅では、設置場所の状況によって取り付け可能な給湯器が限定されていることが多く、必要な部品や作業内容も現場ごとで大きく変動します。
詳細な金額の決定は現地調査を行う必要があるため、上記金額はあくまで参考価格としてご参照ください。
マンション・集合住宅用
給湯器の設置タイプ
マンションのガス給湯器は、ベランダまたはPS(パイプスペース・パイプシャフト)に設置されていることがほとんどです。
ベランダに設置する場合は壁に掛けるか、地面に置いて使用する給湯器が設置されます。
PS設置型はパイプスペースの扉内、または壁に埋め込むように設置されており、上方排気・後方排気・アルコーブ型などバリエーションが多いです。
壁掛型
据置型
PS設置型
PSはパイプスペースまたはパイプシャフトの略称で、玄関の横にある給水管やガス管、電気やガスのメーターなどが集約された場所のことを指しています。
マンションでは給湯器をPS内に設置することも多いのですが、排気口の位置や形状、扉の有無などによって設置できる機種が限定されるため、PS設置型の給湯器を交換する場合は基本的に同タイプへの交換となります。
PS標準設置型
PS前方排気型
PS後方排気型
PS上方排気型
PS給排気延長型
アルコーブ設置型
マンション用の給湯器
交換機種の選び方
マンションで給湯器を交換する場合、基本的には現在使用中の給湯器の後継品へのお取り換えとなります。
給湯器はバリエーションが多いのですが、特に集合住宅では設置スペースや配管の径が決まっていることなどから、交換できる種類が限定される場合がほとんどです。
ユプロでは、基本的に現在の給湯器と同じメーカーの後継機種への交換でご案内しております。
TOTO、ナショナル(パナソニック)、ガスターなど給湯器の生産が終了しているメーカーの給湯器をお使いの場合は、事業を引き継いでいる他メーカーの同等品を中心に交換機種を選定・交換させていただきます。
ご依頼時は、給湯器の型番をお伝えください
給湯器の型番・品番には、機器の種類や設置タイプ、号数などの情報が詰まっています。
ご依頼の際に、現在の給湯器の型番をスタッフにお伝えいただければ、交換機種と費用をすぐにご案内できます。
給湯器の型番は、機器本体の前面に貼られた「銘板シール」をご確認ください。
パイプスペースの扉が開かない、シールの文字が薄くなって読めないなど、型番が分からない場合は現地調査も可能ですので、お気軽にご相談ください。
マンションで給湯器を交換する際の注意ポイント
マンションでは、給湯器の交換費用を
誰が負担するのか
マンションでは、給湯器交換の手続きの流れや費用負担先が賃貸と分譲で異なります。
賃貸マンションでは、給湯器交換の費用は貸主が負担
賃貸住宅の場合、設備や備品は貸主の持ち物です。
したがって、賃貸マンションで給湯器が故障した際にかかる修理・交換費用は、原則として貸主負担となります。
給湯器交換を行う業者への依頼、工事の手配なども貸主が行います。
ただし借主の故意過失によって給湯器が破損した場合は、借主に修繕の義務が生じため借主が修理交換費用を負担しなければなりません。
また、経年劣化などの自然破損だったとしても、自分で無理に修理しようとして故障範囲が広がったり周辺設備に被害が出たりすると、修繕費を請求される可能性があります。
そのため賃貸マンションで給湯器が故障した際は、まず管理会社や管理組合、オーナーなど貸主に連絡しましょう。
分譲マンションでは、給湯器交換の費用は自己負担
分譲住宅では部屋そのものだけでなく設備も住人の所有物であり、給湯器も同様です。
そのため給湯器が故障した際は、自身で業者を手配し、交換費用を負担する必要があります。
注意点として、集合住宅の場合は外観に統一性を持たせる等いくつかの理由により、交換できる給湯器の機種が限定される場合が多いです。
一例として、設置タイプは現在と同じにする、号数のアップができない、給湯器の本体色が決められているなどの条件のほか、まれにですが工事の依頼先を指定業者にしなければならないなど工事ルールが決まっていることもあります。
自己負担ではあるものの、好きな機種に変更できない可能性があるため機種選定には注意が必要となるのです。
給湯器の交換機種のスペック・制限される内容についてはお住まいのマンションごとに異なります。
号数アップや機能変更をご希望される場合は、規約を確認するか、分からない場合は管理会社・管理組合に問い合わることをおすすめします。
マンションでは給湯器の色指定に注意
マンションによっては美観保護などを理由に、規約によって給湯器のカラーが指定されている場合がございます。
特注色の給湯器は受注生産となっており、別途費用が発生します。
また、メーカー受注後に製造が開始されるため納期に1か月ほどかかりますので、カラー指定がある給湯器の交換は日程に余裕を持たせて依頼されることをおすすめいたします。
特注色はリンナイでは20色、ノーリツで16色が用意されていますが、日本塗料工業会発行の色見本帳に記載されている色であれば、その他カラーも対応可能です。
特に色指定が無い場合は、標準カラーであるシルバーやアイボリーとなります。
マンションで給湯器の
オート・フルオートを変更したい場合
賃貸マンションの場合は給湯器の持ち主は貸主のため、借主が選択できるケースは少ないです。
分譲マンションの場合は、オートからフルオート、フルオートからオートどちらも変更することができます。
オートとフルオートは給湯器の機能が自動か全自動かの違いです。
オートは「お湯はり・追い焚き」が自動、フルオートは「お湯はり・追い焚き・足し湯・追い焚き配管の洗浄」が自動となります。
給湯器のオートとフルオートの詳細マンションでの給湯器の号数の変更について
給湯器の号数は、お湯の出湯能力を表しており、16号、20号、24号の3種類が一般家庭用として使用されます。
号数が高いほど一度にたくさんのお湯を使うことができますが、ガスの使用量も増えます。
マンションでは、建物自体にガスを引き込むための配管が小さい場合は号数のアップができません。
また、給湯器の排気筒のサイズは号数によって異なるため、配管の径の変更ができない場合も号数の変更は不可となります。
号数変更自体を規約によって禁止しているケースも少なくないため、マンションで号数の変更をご希望でしたら規約内容をご確認いただくか、管理会社へ問い合わせましょう。
給湯器の号数について詳しく見るマンションでエコジョーズの設置・交換を行う場合
エコジョーズは省エネ型のガス給湯器で、従来型の給湯器より効率的にお湯を沸かすことができるため、ガスや電気の使用量が少なく、給湯にかかる光熱費の節約効果があります。
エコジョーズを設置する際の注意点として、燃焼過程でドレン水と呼ばれる酸性の排水が発生するため、適切に処理しなければなりません。
ドレン水は給湯器内部で中和器を通ることで中性化されるため、機器から排出される時点では人体への影響がほとんどなくなりますが、下水道法で汚水と定められているため汚水として処理する必要があるのです。
ドレン排水の処理経路を確保できない、そのほか規約によってエコジョーズの設置が禁止されている、管理会社の許可がおりないなどの場合は設置ができません。
マンションのドレン排水の処理方法
エコジョーズのドレン排水の処理方法は、給湯器の設置場所によって変わります。
給湯器が屋外のベランダやバルコニーに設置されている場合は、雨水用の側溝へ排水用の配管を伸ばして排水するか、立て管にドレン排水用の配管を接続して排水します。
玄関横のパイプスペースにエコジョーズを設置する場合も、ドレン水は雨水側溝に排出するか、立て管に排出します。
側溝や立て管に接続ができない場合は、ドレンアップ方式や三方弁方式を用います。
ドレンアップ方式
ドレンアップ方式は、給湯器内部のポンプによって強制的に浴室の排水系統にドレン水を流す方法です。
新築マンションなどで新しくエコジョーズを設置する場合はドレンアップ方式を採用することが多く、トリプルチューブと呼ばれる追い焚き用の管2本とドレン排水用の管1本が一体化した配管を、浴室とエコジョーズ機器の間に敷設します。
三方弁方式
三方弁方式は集合住宅に設置された給湯器を従来型からエコジョーズに変える時に採用することが多い方式で、給湯器本体に内蔵されたタンクにドレン水を一時的に溜め、三方弁ユニットを切り替えて追い焚き配管を通して浴室の排水系統にドレン水を流します。